ホンダ VT1300CX
スズキ イントルーダークラシック400

ホンダ VT1300CX – 北米で大人気のカスタムクルーザーが日本デビュー

掲載日:2009年12月10日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

北米で大人気のカスタムクルーザーが
日本仕様としてついにデビュー

海外、特に北米市場において隆盛が著しいカスタムクルーザーは、これまで日本市場で発売されてきたクルーザーと異なり、知らない人が見ればメーカー純正とは思えない過激なスタイルが魅力だ。これまでヤマハをはじめとした国内メーカーが積極的に海外市場に向けてリリースを続けてきたが、2008年にはホンダもハイテクチョッパースタイルの「フューリー」を投入。瞬く間にヒットモデルとなり、バイクシーンを賑わしている。その注目の1台がついに国内に導入されることが決定した。新たに与えられた車名は「VT1300CX」。2009年の東京モーターショーで発表されたニューモデルは、アメリカで熱い支持を集めたスタイルはそのままに、日本仕様としてポジションの調整などが施されているのが特徴だ。また、これまでのラインナップからは想像もつかない大胆なスタイルと圧倒的な存在感は、クルーザーファンならずとも気になるところだろう。今回の試乗インプレッションでは、走りとともに魅力的なその造形をレポートする。

ホンダ VT1300CXの試乗インプレッション

ホンダ VT1300CXの画像

見ているだけでは分からなかった
乗りやすさと深い味わい

“1312ccのエンジンを搭載したクルーザー”と言うと、「乗るのが大変だ」と思ってしまうかもしれないが、外見とスペックだけでそう判断しているなら、それはあまりにも早計というものだ。とは言え、かく言う自分もはじめてVT1300CXを目にした時、あまりの大きさと存在感に「上手く乗れるのだろうか」と息を呑んだ。しかし、メッキパーツでキラキラと輝く車体に恐る恐るまたがり、そっと走り出してから5分もすると、乗る前に覚えたためらいなどは軽く吹っ飛んでしまった。全長約2.5m、車重300kgオーバーのビッグクルーザーは、まさしくホンダのモーターサイクル。激しく個性を主張するスタイルとは裏腹に、取り回しから走行まで非常にイージーなのだ。ローダウンされた車体と低いシート高のおかげで両足は地面にべたりと着き、日本仕様にプルバックされたハンドルは街中でも疲れないライディングポジションを与えてくれる。でん部を包み込むようなシートに身体をあずけてゆったりと街を流せば、乗り心地はまさに快適の一言。特に取り回しの良さは特筆すべきもので、見た目とはまったく違う扱い易さに驚く人もいるかもしれない。さすがにワインディングまで楽しめる…とまではいかないが、そういった過度にスポーティなシチュエーション以外で、不便を感じることは皆無だった。

ホンダ VT1300CXの画像

だが、何においてもVT1300CXで言及して置きたいのは、美しい車体の中央にて鼓動する新型水冷型ツインエンジンだろう。最高出力こそ54PSと控えめなものの、2,750回転で10.5kgmという大トルクを発生するパワー特性は、このバイクに官能的なテイストを与えている。ライダーを心地よく揺さぶりながら、適度なスロットル開度でクルージングスピードに到達する過程がとても感情豊かで、エンジンが奏でるバイブレーションと低いサウンドにずっと身を預けたくなってしまうのだ。余裕ある排気量とトルクはルーズなギアシフトを可能にしているが、その“いい加減”な操作に対しても情感豊かな鼓動で応えてくれるのだからたまらない。ちょっと高めのギアでトルクの山を少しだけ意識しながら走ると、身体をソフトに押し上げるようなパルス感に包まれながらのクルージングを楽しめる。時速60km、そして時速80から100kmをキープして走ったときの気持ち良さは、足を着きたく無くなるほどの快感だ。見た目の派手さについ目がいってしまうけれども、心地良い走りもVT1300CXの重要なキャラクター。見ているだけでは分からないこのスペシャルなテイストを、是非一度味わってみてはいかがだろうか。

ホンダ VT1300CXの特徴は次ページにて

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