ハーレーダビッドソン FLSTFB ファットボーイ・ロー
ハーレーダビッドソン FLSTFB ファットボーイ・ロー

ハーレーダビッドソン FLSTFB ファットボーイ・ロー – 流行の最先端を行くモデル

掲載日:2009年11月19日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

ブラック&グレーで全身を覆った
流行の最先端を行くモデル

「メーカーはどこまで作りこめるのか」。まるでそんな命題を与えられたかのように、ハーレーはここ数年、ファクトリーカスタムと呼ばれるカテゴリの車両を世に送り出している。ソフテイル・ロッカーCやクロスボーンズが代表的なモデルだが、スポーツスターファミリーにおけるファクトリーカスタムモデルといえば、XL1200N“ナイトスター”になる。2008年10月に登場したこのモデルは、ブラック&グレーのパーツを各所に装着しており、全体的にダークな印象となる一台に仕上げている。事実、各ディーラーの販売状況においても2年連続で好調を維持しており、ユーザーが求める姿を具現化したモデルといっていい結果を生んでいる。このスタイルが現在の流行であることを裏付けるかのように、2009年3月にはXL883シリーズでブラックアウトされたモデル「XL883Nアイアン」が登場した。そんな流行の最先端を走るナイトスターが、実際にはどれほどの魅力を秘めているのか、当編集部が試乗インプレッションを行った。

ハーレーダビッドソン FLSTFB ファットボーイ・ロー 試乗インプレッション

ダークな風貌の中に隠された
新しいスポーツスターの定義

ハーレーダビッドソン FLSTFB  ファットボーイ・ロー 写真ローダウンして足つきが良くなったとはいえ、大きな車体が印象的なファットボーイがベースである、取り回し等、不安を抱いている方も少なくないだろう。そうした声に対して、「なんら心配はいらない」と言いたい。車両重量が330kgと、ソフテイル・ファミリーのなかでは2番目の軽さ(?)を誇る。重くないわけではないが、元々重いモデルばかりがラインナップされているハーレーという範疇で考えれば、かなり良心的な車重と言えるだろう。有り難いのがワイドな広がりを持つナロータイプのハンドルバーで、肩幅より広いポジションなので取り回しに余裕を持たせてくれる。実際に跨ってみると、予想どおり足つき性はバツグン。身長173cmの僕だと、膝が「くの字」に曲がって足がべったり着く。おそらく160cmほどの方でもベタ足になるのではないだろうか。さらにうれしいポイントが、ニューデザインとなったシートだ。ベースのFLSTFから継承したワイドな横幅に加え、さらに体が深く沈み込み、ちょっとしたソファ感覚を味わえる仕上がりとなっている。

ハーレーダビッドソン FLSTFB  ファットボーイ・ロー 写真高速道路に入り、渋滞のない快適なハイウェイライドが始まると、なかなかの安定感を提供してくれる。が、ネイキッド型なので当然ながら風防効果はなく、速度を上げれば上げるほど風が強まってこのモデルが持つ楽しい乗り味が半減してしまう。ツインカム96Bの心地よい鼓動を感じながら高速走行を楽しみたいなら、今年より採用された5速ヘリカルギアに入れた状態で時速80km~90km前後での巡航をしてみてほしい。もちろん好みの差もあるわけで、そこを探りながら乗ってみるのが一番いい。前後とも17インチ径というホイールサイズのフロント140mm/リア200mmのタイヤは実にバランスがよく、ローダウンした車体と相俟って走行時の安定感に一役買っている。時速100kmオーバーで走らなくてもいい余裕をたっぷり味わわせてくれること請け合いだ。鈍行での走行バランスがいいわけだから、混雑した状態が多いシティユースでも難なくクリアしてくれる。街乗りでの状態を知ろうと、渋滞の多い新宿や渋谷といったエリアでの走行テストを行ったのだが、狭いエリア内での取り回しに関して言えば、愛車スポーツスターXL1200Rよりラクだという印象。むしろ「軽い」とさえ思ったほどだ。ビッグツインゆえ加速は若干鈍いものの、ご愛嬌で済ませられる程度。なにより“ローダウンしていること”が気持ちにゆとりをもたらしてくれることが最大の発見だった。

ハーレーダビッドソン FLSTFB ファットボーイ・ロー 特徴

スクリーンデビューを機に火が付いた
ベースモデルの人気から振り返る

ハーレーダビッドソン FLSTFB  ファットボーイ・ロー 写真
ハーレーダビッドソン FLSTFB  ファットボーイ・ロー 写真
ハーレーダビッドソン FLSTFB  ファットボーイ・ロー 写真 ハーレーダビッドソン FLSTFB  ファットボーイ・ロー 写真

今回ご紹介するファットボーイ・ローのベースモデル、FLSTFファットボーイの歴史から振り返ってみよう。このモデルが登場したのが1990年、今でこそハーレーのモデル分類基準である「ファミリー区分」が始まる前年で、その位置づけはFLSTヘリテイジ・ソフテイルのカスタム・モデル、現行モデルで言えばFXCWCソフテイル・ロッカーCやFLSTSBソフテイル・クロスボーンズのような「ファクトリー・カスタム車」だったのだ。“名は体を現す”とはまさにこれのことで、横幅のある前後フェンダーや斬新なディッシュホイール、ショットガン型エギゾースト、そして本モデルにだけ許された大きなヘッドライトナセルなど、チョッパー・カスタムの対極とも言えるマッチョなボディは、デビュー当時かなり異質だったことだろう。そんな異端児モデルを一躍スターダムに押し上げたのが、その翌年に公開されたハリウッド映画『ターミネーター2』である。主演のアーノルド・シュワルツェネッガーが黒い革ジャンにサングラスという出で立ちでFLSTFを駆る姿は、主人公の体躯とマッチし、その存在を世に知らしめた。以降、さまざまなモデルが登場しては姿を消していくなか、ファットボーイは来年20周年を迎えるなどベストセラーモデルとしての確固たる地位を確立している。

FLSTFBファットボーイ・ローはファットボーイのグレードアップ版モデルで、開発コンセプトは「より低く、よりブラックに。」。一見すると「XL1200NナイトスターやXL883Nアイアンのように、ブラックアウトしたモデルなんでしょ?」と思われがちだが、ブラックデニム仕上げ、サーメットブラック仕上げコーティング、グロスブラック仕上げなど、3パターンのブラック塗装がバランスよく配されており、さらにヒートシールドやパワートレイン、プライマリーカバーなどをサテンクローム仕上げとすることで全体のカラーリングにアクセントを加えている。特に強い主張を感じるのが、真っ黒なディッシュホイールだ。車体全体の印象を決定付ける重要なポイントゆえ、ここが黒く引き締まった点は見逃せない。そして「さらに低く」を実現するために、ローダウンリアサスペンションと、FLSTFのノーマルシートよりもさらにくぼんだバッドランダージオメトリーを採用している。これによりシート高は1インチ(2.54cm)ダウンし、全モデル中でもっとも低いシート高となる620mm(加重時)を実現した。足つきの良さから女性ライダーに人気があった FLSTNソフテイル・デラックスの622mmよりも低くなっており、ユーザーにとっては愛車選びの選択肢が増えたことになる。

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SPECIFICATIONS - ハーレーダビッドソン FLSTFB ファットボーイ・ロー

ハーレーダビッドソン FLSTFB  ファットボーイ・ロー 写真

価格(消費税込み) = 232万1,000円

ハーレーのラインナップでも人気のモデルFLSTFファットボーイのグレードアップ版。ブラックアウトしたボディ塗装に注目が集まるが、ローダウンリアサスペンションの採用やシート形状の変更などが加わったことで、シート高は全モデル中でもっとも低い620mmを実現。女性にうれしい乗りやすさと足つき性が魅力の一台だ。

■サイズ = 全長2,396×全幅930×全高1,090mm
■ホイールベース = 1,638mm
■最低地上高 = 122mm
■加重時シート高 = 620mm
■ボア×ストローク = 95.3×111.1mm
■最大トルク = 110Nm / 2,750rpm
■タンク容量 = 18.9L
■燃費 = 22.7km/L(ハイウェイ)/14.9km/L(市街地)
■エンジン = TWIN CAM 96B

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