掲載日:2007年10月31日 試乗インプレ・レビュー
ロー&ロングのコンセプトどおり、全長2450mm、ホイールベース1625mmという体躯は、1クラス上の堂々とした存在感を示す。このディメンションはベースモデルとなったDS4とほぼ共通だが、それをさらに大きく見せているのが“クラシック”なデザイン。130/90MCというフロントタイヤや、重厚感のあるサドルシートなど、旧きよき時代のクラシック・アメリカンバイクを思わせる佇まいを見せる。さらに、こうした大きさを間延びさせないのが、随所に散りばめられたクロームメッキパーツの数々。外装以外はほとんどメッキが施されていて、これらのパーツの造形がそれぞれきちんとデザインされており、映りこむ風景が豊かな表情を見せてくれる。
エンジンはこのクラス唯一の空冷70度Vツイン。アメリカンとはいえ水冷エンジンが趨勢を占める中、あえて空冷を選ぶあたりは、いまだに「SR」や「XJR400R」など、小排気量車でもしっかり趣味性を求めるヤマハらしいこだわりだといえよう。この空冷Vツインは、フラットなトルク特性によって低い回転をキープしながらでも力強く走ることができる。また、駆動系にチェーンではなくシャフトドライブを採用しているのも、ヤマハならではのこだわり。メンテナンスフリーというメリットと、駆動系をすっきり見せられるという点で、こうしたクルーザーにはぴったりだ。そのためもあってか、左側面のビューはきれいな三角形を描くフレーム(厳密にはスイングアームだが)がくっきりと浮かび上がり、一見リジッドと思わせる取り回しがクラシック・アメリカンに求められるイメージをとてもうまく再現している。