ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ
ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ – 走るほど感じる奥深さ

掲載日:2007年10月22日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

ハーレー ダイナファミリーに
異色のニューモデルが登場

2008年モデルのハーレーがついに販売開始された。ハーレーの場合、例年この時期にニューモデルが登場し話題になるが、2008年モデルは従来のニューモデルと気色が違う。斬新なモデルが登場しているのだ。1つは「XL1200N ナイトスター」。従来のスポーツスターのスタイルを踏襲しつつ、鮮やかな色使いが美しい。2つ目が今回ご紹介する「FXDF ダイナ・ファットボブ」だ。このモデル、ローライダーに代表されるハーレーのダイナファミリーのスタイルとは一線を画すモデルとなっている。特徴的なヘッドライトと前後16インチのホイールは、どれもこれまでのダイナファミリーにはなかったモノ。ダイナファミリーにも変革の波が訪れたのか。100年以上の長きに渡り、伝統を守りつつ進化をすすめてきたのがハーレー。しかしながら、停滞することも許されないのだろう。FXDFをはじめとする2008年のニューモデルからは、新たなハーレー像を作ろうとするハーレーのチャレンジ精神が垣間見える。FXDFというモデルを知ることで、ひょっとすると将来のハーレー像が見えてくるかもしれない。

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ 特徴

今までにはない個性とインパクト
ハーレーの枠にとどまらない新しさ

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ 写真FXDFの目をひく個性的なポイントは、やはり横2灯タイプのヘッドライト。今までのハーレーの歴史はもちろん、その他クルーザータイプのバイクでもあまり見られないスタイルだ。好みは分かれるかもしれないが、一目で他と違うことを主張した表情は好印象。また、これまでのダイナシリーズと違う大きな点としては、前後タイヤサイズの変更が上げられる。現行モデルだと基本的には100/90-19インチという設定になっているが、FXDFだけは130/90-19という小径かつ極太タイプを採用。リア側もサイズアップされており、こちらは従来の160/70-17インチではなく180/70-16インチとされ、低く構えた迫力あるスタイルに一役買っている。この変更の効果は大きく、ダイナファミリーの中に位置しながらもFXDFはそれに納まらない存在感だ。

もちろん、個性はハンドルとヘッドライトだけではない。“トミーガン”と名づけられたマフラーは2in1in2といううねるような取り回し、ハンドルはケーブル類の露出を極力廃したドラッグバー。フルカバードのリアサスペンションにディッシュタイプのホイールとくれば、これはもうファクトリーメイドのカスタムマシンと言っても差し支えないだろう。もう一つ忘れてはならないのは、新型のエアクリーナーカバーを装備したツインカム96エンジン。独特の鼓動を奏でるこのエンジンはダイナシリーズ共通のものだが、シリンダーの下でうごめくようなエキゾーストパイプのラインとあいまって、他モデルでは感じられない逞しさを感じさせてくれる。ファットボブは従来のファンから見れば、トラディショナルな部分の少なさで不満を感じるかもしれない。しかし、これからハーレーを楽しみたいライダーから見れば、これほど個性的なモデルもないだろう。ハーレーというスペシャルなカテゴリーの中でも、やはりFXDFのアピアランスは格別だ。

最大の特徴といえるデュアルヘッドライト。ダイナファミリーだけでなく、これまでのハーレーにもなかった斬新なカスタムスタイルだ。レンズはマルチリフレクターで光量も十分。

個性的なデュアルヘッドライト

最大の特徴といえるデュアルヘッドライト。ダイナファミリーだけでなく、これまでのハーレーにもなかった斬新なカスタムスタイルだ。レンズはマルチリフレクターで光量も十分。

現行ダイナで唯一フロントに130mm16インチタイヤを採用。ホイールはカスタムテイストを感じさせるディッシュタイプで、キャリパーも新型に。ホイール周りが一新されている。

130mmタイヤ+16インチディッシュFホイール

現行ダイナで唯一フロントに130mm16インチタイヤを採用。ホイールはカスタムテイストを感じさせるディッシュタイプで、キャリパーも新型に。ホイール周りが一新されている。

FXDFだけに採用される2in1in2スラッシュカットの“トミーガン”マフラー。一度集合するエキゾーストパイプの造形が個性的でたくましい。これも従来になかったデザイン。

専用デザイン“トミーガン”マフラー

FXDFだけに採用される2in1in2スラッシュカットの“トミーガン”マフラー。一度集合するエキゾーストパイプの造形が個性的でたくましい。これも従来になかったデザイン。

ルックスのインパクトのため見落とされがちだが、FXDFのシートは秀逸。スポーティなデザインと包み込みようなフィット感が乗る楽しさをさらにアップさせてくれる。足つきもいい。

ホールド感とすわり心地抜群のシート

ルックスのインパクトのため見落とされがちだが、FXDFのシートは秀逸。スポーティなデザインと包み込みようなフィット感が乗る楽しさをさらにアップさせてくれる。足つきもいい。

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ 試乗インプレッション

どこまでも力強く心地よい
走るほど感じる奥深さ

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ 写真セルを回すと、身震いするような鼓動とともにFXDFのツインカム96エンジンは始動する。かけた瞬間こそぐっと身構えてしまうものの、アイドリング時のサウンドやフィーリングはジェントルなもの。音量こそ最近の音量基準のため控えめなものの、鼓動感は健在で、体に伝わってくるバイブレーションが心地良い。車体自体はさすがに重量があるが、一度走り出してしまえば1,584ccという大排気量が生み出す圧倒的なトルクで軽ささえ感じさせてくれる。特に前後16インチタイヤからくるライディングフィールは格別で、フロントタイヤが大きいモデルにありがちな切れ込んでいく感覚はない。スロットルと体重移動で意のままに楽しめる。街中から速度の乗る高速コーナーまで見事なフットワークで駆け抜けてくれるだろう。先入観で「ハーレーは曲がりにくい」と思っている人が乗ったならきっと驚くはず。

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ 写真また、太いタイヤによる安定感も抜群で、高速道路でも余裕あるクルージングが味わえる。ダイナファミリーは優れた運動性能が魅力の一つだが、FXDFは全体的にポテンシャルが1ステージ上がったかのような印象だ。ハーレーファンはもちろん、国産のビッグバイクから乗換えでも楽しめる走りの良さは大きな美点と言えるだろう。「のんびりと鼓動を感じながら」もいいけれど、力強いツインカム96のトルクを感じて走り抜けたい、という向きなら特におすすめできる。鼓動が生み出す心地よさだけでは終わらない、この奥深い楽しさはFXDFならではではないだろうか。個性的なのはルックスだけではない、走りの面においても独自の哲学をファットボブは感じさせてくる。

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ こんな方にオススメ

ルックスが好みなら間違いなし
走りにも個性にもこだわる人へ

FXDFはルックス、ライディングフィールともに今までのハーレーには無いモデル。従来のダイナシリーズならではのルックスやテイストを求める人にはあまりオススメできない。だが、新しいハーレーを体感したい人や、この個性的なルックスにやられてしまった人ならFXDFは間違いのない選択肢だろう。また、国産ビッグバイクからの乗り換えとしても、ハーレーの鼓動を感じつつもスポーティに走れるFXDFをプッシュしたいところ。鼓動を感じながら駆け抜ける悦びはこのモデルならではのモノだろう。自分のスタイルにコダワリを持ってバイクライフを楽しむ、そんなライダーにこそファットボブにまたがってもらいたい。

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ 総合評価

ネガティブだった印象が一変
テイスト以外でも満足度が高いモデル

数年前に初めてハーレーに乗った時に感じたのは「トラディショナル過ぎてちょっと物足りない」ということだった。それ以来なんとなくハーレーを避けてきたが、今回のFXDFで大きく印象が大きく変わった。どのメーカーのモデルにもない刺激的なルックスに、インジェクション化されドライバビリティの向上した車体とエンジン。ツインカム96の鼓動と太いトルクの快感はもちろん、一番感心したのは操作系の軽さや使いやすさ。ハーレーといえばルックスやエンジンに目を奪われがちだが、ライディングの快感をライダーに伝達する部分の作り込みはもっと注目されるべきではないだろうか。2008年モデルで新たに登場したFXDFの個性は賛否両論あるだろうが、伝統だけにとらわれないハーレーの挑戦は高く評価したい。各部のこだわった仕上がりに、その気にさせてくれるライディングフィール、ハーレーならではのあのテイスト、すべてが凝縮されてこのFXDFは作り出されている。実際に乗ってみれば、変化したからこその凄さは一目瞭然。ハーレーが繰り出した次の一手を、是非一度体感してみて欲しい。

SPECIFICATIONS - HARLEY-DAVIDSON FXDF DYNA FAT BOB

ハーレーダビッドソン FXDF ダイナ・ファットボブ 写真

価格(消費税込み) = 202万5,000円

2008年モデルで新たに登場した、これまでにない斬新なスタイルを持つFXDF。エンジンなどハーレーらしさは維持しつつも、デザインや装備面で思い切った挑戦を行っていることに注目したい。

■エンジン = 空冷OHV 45°Vツイン 1,584cc
■最大トルク = 113N・m/3,000rpm

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