取材協力/ファクション  取材・文・写真/モリヤン  構成/アメリカンライド編集部
掲載日/2014年04月09日
拠点を2か所持つ新鋭のカスタムショップは、基本的に独自のスタイルで完成車を生み出し続ける。
そのペースは、毎月10台以上というスピードだ。

INTERVIEW

スペシャリストが集まった
プロ集団が生み出すカスタム

九州は福岡県大野城市にファクトリー、そして横浜にショールームと二つの拠点を持つFACTION。大野城市のファクトリーは、福岡市からほど近くアクセスの便利な場所にあった。建物は大きな倉庫を改造したようで敷地面積は広く、ファクトリー内には大型の工作機械や塗装ブースも設置されている。パーキングには数多くのコンプリートカスタムが整然と並べられていて、訪れるお客さんは、様々なスタイルのカスタムを実際に自分の目で細かく観察出来るというのが大きな特徴である。

 

完成したカスタムは、ほとんどが全身ブラックで塗装されたものばかりで、社長の江川さんに聞くと、それがこのショップの「色」であり、こだわりだという。

 

「黒という色はやはり鮮麗された雰囲気を持っている。自分たちも鮮麗されたカスタムバイクを創りたいし、お客さんにも乗ってもらいたい。もちろん、今後は他にも様々なカスタムバリエーションを考えています。近日中にウェットブラストの導入も控えていますし、よりいっそうのクオリティの向上を目指します。カスタムの可能性は無限大ですから」

 

冒頭でも説明したように、このショップは2ヶ所の拠点がある。「一人でも多くの人にカスタムバイクの魅力を伝えたい」。その想いから、このショップは福岡と横浜に店を構え、様々なカスタムコンプリートを展示している。福岡のファクトリーでは、まだ製作途中のカスタムバイクも見る事ができ、横浜のショールームではFACTIONの主要ラインナップが常に展示されている。

 

「メカニックや塗装のプロなど、みな10年以上のキャリアがある職人ばかりなので、製作するカスタムバイクのクオリティには大きな自信があります」

 

昨年の5月にオープンして、すでに120台ものコンプリートカスタムを製作したというから驚きだ。現在はほとんどのベース車輌がヤマハのドラッグスターやホンダのスティード等の400ccモデル。あまり様々なベース車輌を細かく手がけるより、ハイクオリティを維持するには賢い選択である。そして、基本はユーザーからのオーダーではなく、完成車輌を販売するという方式を採用。車輌の販売価格が60万円代ほどというリーズナブルな設定に出来るのは、ショップ主体の効率良い生産体制にあったのだ。もちろん、持ち込みでの細かいモディファイやペイント、そしてカスタムも受け付けるという。

 

九州のファクトリーで仕事をするスタッフは、全員とてもフランクでフレンドリーだ。そんなこともこのショップが明るく活気に満ちている要因のひとつだろう。この先、様々なスタイルのカスタムが大量に生まれて行く背景には、このような新しいショップの勢いが必要である。初めてアメリカンカスタムを乗ってみたいと思うライダーは、一度訪れてみることをお勧めしたい。

CUSTOM LINE UP

DRAGSTAR CUSTOM

ドラッグスター400/ニューロッド
流線型のフォルムが美しいストレッチタンクを採用し、ゴールドのグラデーションを施す。ワンオフ製作された特徴的なマフラーはエンド部分に真鍮をあしらい、さりげなくタンクのペイントと合わせるなど、艶やかな1台だ。

ドラッグスター400クラシック/ニューロッド
こちらは、フロント16インチ、リア15インチと重厚感のあるドラッグスター400クラシックをベースにした一台だ。ダウンサスに12度レイクのトリプルツリーとこちらもかなりLow & Longになっている。

ドラッグスター400/ブラックチョッパー
ノーマルのフレームをそのまま生かし、大胆なフォルム転換を成功させた1台。トリプルツリーは12度レイクを採用。バッテリーをスイングアーム下に移設し、シート下をスッキリさせたオールドスクールでまとめる。

ドラッグスター400/ブラックロッド
攻撃的なハイマウントショットガンタイプのマフラーはワンオフ製作。ノーマルエアークリーナーを使用できるように、ガソリンタンク下は加工されている。全体のシルエットから都会的な雰囲気を感じさせる。

ドラッグスター400/グラファイトロッド
徹底的にローダウンされた、まるで軍用車を彷彿させる1台。マットブラックで統一された車体やシート下のスカチューン、フォークブーツ等、ラットな雰囲気を感じさせる。

ドラッグスター250/ブラックロッド
こちらのショットガンマフラーもワンオフ製作。さらにタンク、フェンダーもワンオフ製作。エンド部分の真鍮がアクセントとなっている。400ccと比べると車体も軽く扱いやすい。女性にも人気の一台だという。

STEED CUSTOM

スティード400/ブラックロッド
ベースにディッシュホイールのスティード400VSE使用し、よりいっそう黒く纏め上げた一台だ。セパハンにカチ上げのマフラーと攻撃的なフォルムだが、どこか近未来的な要素を感じさせる。

スティード400/ロッドスタイル
メッキパーツを随所に残し、バイクの機械的な部分を前面に押し出している。ブラックとメッキのバランスが絶妙な一台。アルミ部分もポリッシュ仕上げをして、妥協を許さないクオリティだ。

スティード400/グラファイトロッド
全身をマットブラックでオールペンし、マフラーにトランペットタイプを使用してダートなイメージとなった。シート下をスカチューンし、より軽快なイメージとなっている。

スティード400/ブラックチョッパー
ロングでアップライトなフォルムが生み出す雰囲気は、70年代のチョッパーシーンを彷彿させる。ワイドトリプルを使用してレイク角は12度。タンクはローマウントのスポーツスタータンクを採用。オリジナルのサイドカバーも装着。

スティード400/フリスコスタイル
ホイールのリム部分をレッドで塗装し、ホットロッドをイメージした一台。ナローTバーというオリジナルハンドルバーを装着したフリスコスタイル。シート下、ハンドル廻り、スイッチ類と全てスカチューンされている。

スティード400VLS/ブラックチョッパー
ベースは希少なスティードスプリンガーモデル。ノーマルの個性をよりいっそう強調させるカスタムとして製作されたもの。ハンドルはクラシカルなワイドバーを使用し、外装をマットグレーで塗装。ガソリンタンクはマスタングタンクを採用し、オールド感を演出している。

SR CUSTOM

SR400/FT-01
FT-01と銘銘されたコンプリート第一号機。その名の通り、ミリタリー仕様に作り上げられている。SRというシンプルな車体のイメージを一新させた、FACTIONの技術とセンスが集約されたマシンである。

SR400/ブラックチョッパー
全ての車両をカスタムする上でもファクションのスタイリングコンセプトは不変である。それはバランスである。小さなカスタムパーツ一つにしても、バランスを最重要視している。その考えがカタチとなったような一台だ。

SR400/ブラックチョッパー
アップライトなライポジ。ハンドルバーはミニエイプを選び、マスタングタンクとの相性も抜群だ。ワンオフ製作されたカチ上げのマフラーが遊び心を演出させる。

SR400/ブラックロッド
シートレールを加工して車高を下げる。リアサスの取り付け位置も後方に移し、さらに低いポジションを作りセパハンを装着。タイヤにはファイアストーンを選んで、ダートレーサーのような雰囲気のある1台だ。

SR400/グラファイトロッド
前後のタイヤはコッカーを使用。ファットな足回りに短いアップマフラーという組み合わせは、ボバースタイルを彷彿させる。全体を低く持ってきている中に、あえてガソリンタンクはマウント位置を上げて装着されている。FACTIONが最重要視しているバランスへのこだわりが感じられる。

SR400/F21in・R16in
フロントホイールには21インチ。リヤは16インチと普通のSRでは王道のオールドカスタムだ。もちろんアルミパーツはポリッシュ仕上げで、スタイリッシュかつ繊細な美しさを持っている。

OTHER CUSTOM

FTR223/ブラックチョッパー
ノーマルではダートトラッカーイメージのホンダFTR250も、軽快なチョッパーに変身した。シートレールを加工し、リヤサスは強化スプリングを採用しマウント位置を下げ、ローダウン。絶妙なバランスの一台である。

250TR/ブラックチョッパー
元々シンプルなカワサキ250TRをベースにカスタムした1台。フレーム前方のガゼットを取り去りよりすっきりと加工。コイルやバッテリーも移設して、軽快なフレームワークを見せている。ブリティッシュグリーンのペイントや、メッキを残したホイールが、どこか英国の香りを漂わせる。

CB400SS/ブラックチョッパー
CB400SSをベースにしたカスタムは2本出しにされたワンオフマフラーが大きな特徴。4バルブエンジンは軽快で速さを求めるチョッパーならCBという選択もあり。大人のチョッパースタイルである。

レブル250/ブラックチョッパー
こちらはチョッパーには珍しいホンダのレブル250がベース車両。ローマウントされたマスタングタンクの他、ジョッキーシフト化されたのも大きな特徴だ。軽量な車体や程好いライディングポジションと、こちらもとても乗りやすい一台だ。

1インチ用 ナローTバー
ハンドル幅を極限まで切り詰めたナローTバーは、オリジナル商品。フリスコスタイルにマッチしている。高さは17センチで幅は50センチ。通常はステンレスだが、ブラックも揃えている。

スティード400/サイドカバー
スティード400用のスリムサイドカバー。良く出回っているサイドカバーは角が太ももに当たり違和感があるのを改善したオリジナルパーツだ。デザインも機能性も兼ね備えたパーツとなっている。

SHOP INFORMATION 福岡/横浜店

福岡店

ファクションのカスタム製作ファクトリーのある九州店は、九州自動車道の太宰府インターからほど近い国道3号線沿い。博多からJRならば、大野城駅を降りて東に1kmほどの場所にある。工場内やパーキングには完成したカスタムバイク。製作途中のものも見ることができる。

横浜店

横浜店は、完成したカスタムバイクが多数展示されているので、こちらでも様々な車両を実際に見ることができる。場所は、横浜桜木町を背にして真っ直ぐ、県道218号線を2キロほど走った道沿いである。京急の南太田駅から200mほど。ガラス張りのショールームは、初めて訪れても分かりやすい。

住所/〒816-0912 福岡県大野城市御笠川6-7-12

TEL・FAX/092-985-2372

営業時間/10:00-19:00

定休日/なし

WEBサイト/http://faction.jp/

住所/〒232-0004 神奈川県横浜市南区前里町4-92

TEL・FAX/045-325-8393

営業時間/10:00-19:00

定休日/水曜日・第2火曜日

WEBサイト/http://faction.jp/