アウトライダー最新号特集~北海道大地回遊~

掲載日:2010年05月24日 特集記事    

2010年5月24日発行 アウトライダー 6月号より記事提供

夏の北海道旅ライダーにとって永遠で特別な場所だ。それはなぜなのか。絶景の中を駆け、うまいものを喰い露天の湯に浸かり、魚を釣って、野に寝る。大地を遊び倒した末に、見えてきたある一つの答えとは…。

 

文/櫻井伸樹Sakurai Nobuki  写真/小原信好Obara Nobuyoshi
撮影車両/HONDA シャドウ750
取材協力/ホンダドリーム札幌

帯広の有楽町と下宿所ライハ

北海道でチェーン展開するフィッシュランド帯広で

釣具屋にあったポップ。買わない者負けって……

日が沈み薄暮となった西帯広の駅前は閑散としていた。9月の初旬だけあって北海道はもう、少し肌寒い。熱々の缶コーヒーをすっかり冷え切った手と顔にあてアチチとやっていると、そこにカメラマンの「クマさん」こと小原さんが満面のヒゲ笑顔でどうもどうもと現れた。挨拶もそこそこに、じゃあ行きましょっかと連れて行かれたのは、そこから100メートルも行かない店舗。建物には「有楽町」と書かれた巨大な看板がある。お店のドアを開けると、とたんに店の中から笑い声や肉を焼く煙と匂いが外へあふれ出した。すごい活気だ。通りの人影はまばらなのに店内はほぼ満員。家族、カップル、会社帰りのサラリーマンがカリブの海賊のごとく盛り上がっている。

 

ここは帯広では知らない人がいないほど有名なジンギスカンのお店。僕も噂はかねがね聞いていたので一度行ってみたかった。というか、この店に訪れることも今回の旅の目的の一つだ。果たして目の前に山盛りのジンギスカンが運ばれた。ホルモンも山盛り。そこへうどんがドンっ。シンプルな醤油ベースのタレに漬け込まれたマトン肉を手早く焼き、ホクホクとほお張れば肉汁がほとばしり、ホルモンとうどんを一緒にシンバルのような鍋で炒め、ハフハフと食えばそのボリュームに舌と胃と脳が喜ぶ。初日からシアワセだ~とつぶやいてお会計をしてみれば一人千円とちょっと。おそるべし有楽町。と、なぜ帯広なのに有楽町なのか、店のおばちゃんに尋ねてみると

 

「う~ん、なんでなのかしらねぇ」

 

アハハ(汗)。まぁいっか。

 

その日の宿は、有楽町から徒歩1分の場所にあるライダーハウスピット。ここはかつて下宿所だった建物を利用したライダーハウスで、母屋にあるカフェで飯を食べ、仲間と騒いで眠くなったら別棟の部屋に行く。部屋は6畳間が8部屋もあり、1部屋に最大3人までが相部屋で寝る。1泊1000円。寝具300円。シャワー100円。たった1400円で畳の部屋のホカホカ布団でスヤスヤとなれるのだから、ライダーハウスの概念を超えている。おまけにボリューム満点のメニューや、宿泊者はグラスの生ビールが1杯200円で飲めるなど、ライダーハウスとしてはかなり、いや日本でもトップクラスのレベルだ。宿を切り盛りするご主人のカマキリさんと美人女将のミキティさんは「ライダーが本当に休んで鋭気を養えるような、旅という名のサーキット走行におけるピットのような存在になりたい」と話す。

 

ジンギスカン有楽町

ジンギスカンを焼き、ホルモン鍋にうどんをぶち込む。これが有楽町最強のメニューだ

 

ライダーハウス&カフェPit

カフェの前にはオーナー夫妻のSSマシンが仲良く並ぶ

マトンで肉厚だが、柔らかいしうえに肉汁もたっぷり!

 

部屋はシンプルな6畳間だ

 

頼れるアニキのカマキリさんと美人女将のミキティさん

帯広の隠れた名店

西帯広の駅から200メートルの場所にあるジンギスカンとホルモンの店。昔から地元民・旅人に人気で、店はいつ行ってもすごい賑わい。柔らかいジンギスカンがなんと一皿346円!ジンギスカンとホルモンを頼み、ホルモン鍋にうどんを入れて食べるのがつう。1,000円出せば満腹まちがいなし!

ジンギスカン:346円/ホルモン:294円/
営業時間:11時~21時30分/火曜定休/
北海道帯広市西23条南1-39/℡:0155-37-2805

 

下宿所を改装した快適空間

2009年にオープンした新しいライダーハウス&カフェ。喫茶店で団欒をしたら隣の宿泊所で寝るシステム。この宿泊所は下宿所だった建物だけに6畳部屋が8室もあり、1部屋を3人で使用する。食事もパスタやピラフなど多数のメニューがあり、しかもそのほとんどが2人前のボリュームだからありがたい。

エビピラフ:800円/しょうが焼きセット:900円/
1泊素泊まり:1,000円/シャワー:100円/
北海道帯広市西23条南1-32-1/℡:0155-37-5819

 

翌日は朝から雨模様。「旅立ち」というより「連泊」という薄暗い雰囲気だったので、僕は居合わせた仲間たちを「ばんえい競馬」に誘った。ばんえい競馬とは、どさんこが鉄のソリを引きながら障害を越えゴールを目指す豪快なレースで、現在では帯広でしか開催されていない貴重な競馬だ。陽気な女性ゲタちゃん、お好み焼き用の分厚い鉄板を積んで走るスーさん、強面だけど優しいしっぷうさん、初心者イズミちゃん(男)、会社を辞めて放浪中のコケさん。昨夜会ったばかりなのにまるで旧知の仲のように、皆で馬券を握り締めて盛り上がる。旅にはこんな日があってもいい。第2レースをみごとに的中させたところで皆に別れを告げ、僕は帯広を後にして東へ向かった。相変わらずの雨模様だが、気持ちはとても晴々としていた。

 

巨大などさんこがそりを引く姿は疾走ではなく爆走だ

 

駐輪場には簡易だが屋根があるから雨はしのげる

 

 

カフェで一緒になれば皆すぐに仲間だ

 

あーでもない、こーでもない

 

 

やった、第2レースをゲッツ!200円が2,250円になった。

 

カレーショップインデアン

ネットリとしてコクのある懐かしいカレーだ

 

この独特の色使いが目印

 

今回は帯広メガドンキ内の店舗を利用。他の買い物もできて便利

帯広っ子のふるさとの味?

帯広の市街地に10店舗を持つ地元密着型のカレー屋さんで、1号店のオープンはなんと1968年。ドロリとした味の濃い激ウマカレーは、どこか懐かしい味で帯広在住者や出身者にとってはもうひとつのお袋の味と言えるほどの存在だとか。どのメニューもリーズナブルなので、帯広に寄った際はぜひご賞味を。

ジンギスカン:346円/ホルモン:294円/
営業時間:11時~21時30分/火曜定休/
北海道帯広市西23条南1-39/℡:0155-37-2805

 

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