ロードライダーインプレッション~カワサキZRX DAEG/1200/1100~

掲載日:2010年05月28日 特集記事    

記事提供/2009年5月1日発行 月刊ロードライダー 5月号
Photo/徳永茂//鶴身健/中岡隆造/吉見雅幸/伊藤 均/富樫秀明

この記事は「ロードライダー2009年5月号」に掲載されたものです。

 

1997年の1100発場から既に12年。GPZ-R系の水冷エンジンと捌きの良いコンパクトな車体による扱いやすさとスポーティな走りとを身上とするZRXは、その後排気量を拡大し車体に手を入れた1200を経て'09年、燃料供給をFIとし日本の排出ガス規制に適合したDAEGとなって、今後に期待をつないだ。今楽しむための素性に、迫る。

キャブレターvsFI、走りの違い

日米欧で展開した1100/1200と、日本専用仕様となった1200DAEG。大きな差はキャブレターとFIという燃料供給だが、走りにどんな違いがあるのか。和歌山利宏というテスターを通じて、捉えてもらおう。

従来型1200Rは走り屋好みのザッパーだ

今年、'97年型の1100に端を発するZRXが、ZRX1200DAEG(以下ダエグ)へと発展。僕・和歌山も本誌3月号ですでに試乗を済ませており、その正常進化ぶりについては、誌面で紹介してきた。

それは、上質になったエンジンフィーリングや路面追従性が向上した足まわりなど、従来型よりもはるかに高水準化、スポーティさも洗練されていた。それだけに正直を言うと、もし、この後で従来型の1200Rに乗ったなら、さぞかしダサく感じるのでは、と内心思っていた。

そのチャンスは、今回ZRXの特集のための比較試乗として、意外にも早く訪れた。僕としても興味津々である。以前は1200Rのホットなキャラに感動したものなのに、今回はがっかりしてしまうのだろうか。事実、過去に絶賛したものを、バイクが進歩し、評価の目が肥えていく状況中で、酷評しなければならない場面に何度も出くわしてきたからだ。

今回僕は、1200Rを一体どんな風に感じるのであろうか。それが乗ってみると、何と、決して悪くないのである。がっかりすると予想する自分もいたのに、かつてのように「こいつ、面白いや」と喜び満面に走り始めていたのである。

1200Rは跨っただけでも好印象だ。燃料供給が噴射式のダエグと比べると、キャブレター式のRは車体の上部が軽い感じで、跨り、傾いた車体を起こしたり、低速で取り回したりするとき軽快である。3月号のインプレ記事で、ダエグはRよりも少々足着き性が悪くなったと書いたことには、こうした事情があったものと思われる。今回、両車の足着き性をチェックすると(P26-27)、ほとんど差がなかったこともここでお伝えしておきたい。

ハンドリングで気に入ったのは、寝かし込み始めの状態から、フロントがしっかり仕事をして曲がり始め、接地感を伝えてくれることだ。もちろん、そのままフルバンクまでリニアに以降、気持ちよく曲がっていく。自分がうまくなった気分である。

エンジンマナーも意外と悪くない。確かにダエグと比べてしまえば、ガサツと言えなくもない。でも、思っていた以上にトルクフルで、トルク感そのものにさほど遜色はない。ダエグでは、徹密にトルクを取り出せる分、一層好印象だったということなのだろうか。

もっとも、回頭性がいいだけに、余計にリヤの接地感や安定性に不満を感じないわけではない。コーナーに進入しリヤに荷重しようとしても、それを安定して受け止めてくれず、トラクションも安定して伝えにくい。また、6ポットキャリパーのフロントブレーキも、現在の水準からすると、初期の効きに甘さがある。

そうした意味で、リヤショックユニットや軽量ホイール、フロントブレーキキヤリパ‐の換装が、ZRXにとってカスタム化の定番メニューとなっていたことも分かるというものである。

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