今日から使えるライテク実践講座-「サスセッティングで走りはどう変わる?」

Text / Kentaro SAGAWA Photo / Satoshi MAYUMI  取材協力 /ライディングアカデミー東京
ライディングアカデミー東京」佐川健太郎の“スマテク”とは?
普段から役立つ実践的なノウハウや方法をレクチャーしてくれるのは、バイクライフをもっと豊かにするためのライディングスクール「ライディングアカデミー東京」の佐川健太郎校長。せっかく手元にある大型バイク、安全に走りを楽しみ、満面の笑みで1日を終えたいもの。そのためには、ライダー自身のスキルアップと安全意識の向上、環境へも配慮したスマートなライディングを目指したい。それが“スマートテク”なのだ。
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サスを知ることが
上達への早道 !?

サスペンションは日本語に訳すと「懸架装置」。つまり、車体を支えるパーツです。その意味するとおり、本来はバイクの荷重を支え、路面からの衝撃を吸収するのが主な役割でした。最初にバイクが世の中に登場した頃はサスペンションなどなく、自転車に小さなエンジンを積んだだけのような乗り物でしたよね(もっとも最近の自転車にはサスペンションが付いているタイプも多いですが…)。それが時代とともに進化し、路面追従性を高めて乗り心地と安全性を向上させる役割を担うようになり、近年では車体姿勢やトラクションのかかり方をコントロールすることで運動性能を引き出すなど、バイクの走りのパフォーマンスを左右する重要なパーツとして発展してきました。最近のスポーツモデルには皆、当たり前のように調整機構が付いているのはご存じのとおりです。

 

つまり現代のバイクにおいては、サスペンションの機能を理解して、使いこなすことがライディングの上達にも欠かせない要素となってきたわけです。そこで、スマテク LESSON 9 では、サスペンションについて基本から学んでいきたいと思います。

 

“サス通”になって、スマートに乗りこなしましょう!

Practice

路面からの衝撃を受け止め、乗り心地を向上。車体姿勢やハンドリングをコントロールします。一般的なテレスコピックタイプでは、ブレーキング時に、主にフロントフォークが減速Gを受け止めることになり、バイクの車重を支えながら同時に操舵機能も受け持つため、とても頑丈に作られています。ちなみにBMWに採用されているテレレバーは、アームとサスペンションが独立した構造です。

フロントフォークの役割

路面からの衝撃を受け止め、乗り心地を向上。車体姿勢やハンドリングをコントロールします。一般的なテレスコピックタイプでは、ブレーキング時に、主にフロントフォークが減速Gを受け止めることになり、バイクの車重を支えながら同時に操舵機能も受け持つため、とても頑丈に作られています。ちなみにBMWに採用されているテレレバーは、アームとサスペンションが独立した構造です。

 

基本的にはフロントと同じで路面からの衝撃を受け止め、乗り心地を向上、車体姿勢やハンドリングをコントロールします。ただし、リアサスにかかる前後左右からの応力はスイングアームが受け持つため、構成は比較的シンプル。フロントフォークのように鋼管チューブに内蔵されるのではなくユニット単体です。シャフトドライブの場合でも、リアサスペンションの構造自体は同じです。

リアサスペンションの役割

基本的にはフロントと同じで路面からの衝撃を受け止め、乗り心地を向上、車体姿勢やハンドリングをコントロールします。ただし、リアサスにかかる前後左右からの応力はスイングアームが受け持つため、構成は比較的シンプル。フロントフォークのように鋼管チューブに内蔵されるのではなくユニット単体です。シャフトドライブの場合でも、リアサスペンションの構造自体は同じです。

インナーチューブが上側、アウターチューブが下側に設定された伝統的スタイルで、年式の古いバイクや、主にネイキッドモデルなどが採用。ただし、最近の高性能マシンでは減衰力調整機構を備えたカートリッジタイプが主流になっています。剛性が高過ぎず、しなり感のある乗り味が魅力にもなっています。

正立フォーク

インナーチューブが上側、アウターチューブが下側に設定された伝統的スタイルで、年式の古いバイクや、主にネイキッドモデルなどが採用。ただし、最近の高性能マシンでは減衰力調整機構を備えたカートリッジタイプが主流になっています。剛性が高過ぎず、しなり感のある乗り味が魅力にもなっています。

 

アウターチューブが上側、インナーチューブが下側に設定されたスタイル。元々は過酷な仕事を要求されるモトクロスに導入され、今ではスーパースポーツをはじめとした高性能マシンに広く採用されています。倒立タイプはバネ下重量を軽くでき、チューブ勘合部が長いため高剛性化できるメリットがあります。

倒立フォーク

アウターチューブが上側、インナーチューブが下側に設定されたスタイル。元々は過酷な仕事を要求されるモトクロスに導入され、今ではスーパースポーツをはじめとした高性能マシンに広く採用されています。倒立タイプはバネ下重量を軽くでき、チューブ勘合部が長いため高剛性化できるメリットがあります。

昔からある左右2本ショックで、伝統的なスタイルにこだわる最新ネイキッドなども採用しています。構造がシンプルでメンテナンスや調整もし易いのが特徴。スプリングを不等ピッチにしたり、レイダウン(傾けて)装着することでプログレッシブ効果(ストローク初期に柔らかく沈み込むほど固くなる)を狙ったタイプもあります。

ツインショック

昔からある左右2本ショックで、伝統的なスタイルにこだわる最新ネイキッドなども採用しています。構造がシンプルでメンテナンスや調整もし易いのが特徴。スプリングを不等ピッチにしたり、レイダウン(傾けて)装着することでプログレッシブ効果(ストローク初期に柔らかく沈み込むほど固くなる)を狙ったタイプもあります。

 

倒立フォーク同様、モトクロス用に開発されたシステム。スイングアームに直付けするタイプもありますが、現在の主流はリンク式モノショックです。リンクを介することでレバー比を変化させることが出来るため、ショックユニット自体は小型化しつつ、大きなストローク量とプログレッシブ効果を生み出すことが可能になりました。

モノショック

倒立フォーク同様、モトクロス用に開発されたシステム。スイングアームに直付けするタイプもありますが、現在の主流はリンク式モノショックです。リンクを介することでレバー比を変化させることが出来るため、ショックユニット自体は小型化しつつ、大きなストローク量とプログレッシブ効果を生み出すことが可能になりました。

サスペンションは「スプリング」と「ショックアブソーバ」からなっています。スプリングはまさしくバネそのもの。ショックアブソーバは液体の入った注射器をイメージしてもらうといいでしょう。スプリングは主にバイクの荷重を受け持ち、路面からの衝撃を吸収するのが役目。これに対し、ショックアブソーバはサスペンションのストローク速度をコントロールしています。その中枢部がダンパー機構です。基本原理は単純で、オイルがピストン内部に設けられた小さな穴を通り抜けるときの抵抗を利用します。シムを設けることでさらに細かく抵抗をコントロールしています。またリアショックには窒素ガスなどを充填したサブタンクを設けて容量を稼ぎつつ、オイルの泡立ちを防いでいるタイプもあります。

 

サスペンションは「スプリング」と「ショックアブソーバ」からなっています。スプリングはまさしくバネそのもの。ショックアブソーバは液体の入った注射器をイメージしてもらうといいでしょう。スプリングは主にバイクの荷重を受け持ち、路面からの衝撃を吸収するのが役目。これに対し、ショックアブソーバはサスペンションのストローク速度をコントロールしています。その中枢部がダンパー機構です。基本原理は単純で、オイルがピストン内部に設けられた小さな穴を通り抜けるときの抵抗を利用します。シムを設けることでさらに細かく抵抗をコントロールしています。またリアショックには窒素ガスなどを充填したサブタンクを設けて容量を稼ぎつつ、オイルの泡立ちを防いでいるタイプもあります。

 

サスペンションは「スプリング」と「ショックアブソーバ」からなっています。スプリングはまさしくバネそのもの。ショックアブソーバは液体の入った注射器をイメージしてもらうといいでしょう。スプリングは主にバイクの荷重を受け持ち、路面からの衝撃を吸収するのが役目。これに対し、ショックアブソーバはサスペンションのストローク速度をコントロールしています。その中枢部がダンパー機構です。基本原理は単純で、オイルがピストン内部に設けられた小さな穴を通り抜けるときの抵抗を利用します。シムを設けることでさらに細かく抵抗をコントロールしています。またリアショックには窒素ガスなどを充填したサブタンクを設けて容量を稼ぎつつ、オイルの泡立ちを防いでいるタイプもあります。

バネと注射器を組み合わせたような構造

サスペンションは「スプリング」と「ショックアブソーバ」からなっています。スプリングはまさしくバネそのもの。ショックアブソーバは液体の入った注射器をイメージしてもらうといいでしょう。スプリングは主にバイクの荷重を受け持ち、路面からの衝撃を吸収するのが役目。これに対し、ショックアブソーバはサスペンションのストローク速度をコントロールしています。その中枢部がダンパー機構です。基本原理は単純で、オイルがピストン内部に設けられた小さな穴を通り抜けるときの抵抗を利用します。シムを設けることでさらに細かく抵抗をコントロールしています。またリアショックには窒素ガスなどを充填したサブタンクを設けて容量を稼ぎつつ、オイルの泡立ちを防いでいるタイプもあります。

スマテク+α

デイトナ675のようなスポーツモデルの場合、サスペンションの役割はもはや乗り心地の向上だけではなく、車体姿勢のコントロールや運動性能を引き出すことに主眼があると言えます。たとえば、フロント荷重を増やして旋回力を高めたり、リアに荷重を移してトラクションを稼いだり、といった具合。スポーティかつスムーズに乗りこなせるかどうかは、サスペンションの使い方次第なのです。

運動性能を引き出す

デイトナ675のようなスポーツモデルの場合、サスペンションの役割はもはや乗り心地の向上だけではなく、車体姿勢のコントロールや運動性能を引き出すことに主眼があると言えます。たとえば、フロント荷重を増やして旋回力を高めたり、リアに荷重を移してトラクションを稼いだり、といった具合。スポーティかつスムーズに乗りこなせるかどうかは、サスペンションの使い方次第なのです。

 

990アドベンチャーなど本格的なオフロード走行を想定したモデルには通常、大きなサスペンションストロークが設定されています。これは凸凹の不整地でも路面からの衝撃を吸収して安定して走破するため。大きなジャンプを伴うモトクロッサーの中には 300mm 以上のストロークを持つものもあります。衝撃吸収だけでなく、サスペンションの反動を使って飛び跳ねるテクニックもあります。

路面からの衝撃を吸収する

990アドベンチャーなど本格的なオフロード走行を想定したモデルには通常、大きなサスペンションストロークが設定されています。これは凸凹の不整地でも路面からの衝撃を吸収して安定して走破するため。大きなジャンプを伴うモトクロッサーの中には 300mm 以上のストロークを持つものもあります。衝撃吸収だけでなく、サスペンションの反動を使って飛び跳ねるテクニックもあります。

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スマテク講座 講師
佐川 健太郎(Kentaro SAGAWA)
「ライディングアカデミー東京」校長。1963年東京生まれ。モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。公道で役立つ実践的な低速系ライディングから、モータースポーツとしてのサーキットライディングまで、テクニックやノウハウに造詣が深く、メーカー系イベントや各種スクール、走行会などでも講師を務める。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。MFJ公認インストラクター。