今日から使えるライテク実践講座-「軽いバイクと重量級バイクはどう違う?」

Text / Kentaro SAGAWA Photo / Yuji FUKUYAMA  取材協力 /ライディングアカデミー東京
ライディングアカデミー東京」佐川健太郎の“スマテク”とは?
普段から役立つ実践的なノウハウや方法をレクチャーしてくれるのは、バイクライフをもっと豊かにするためのライディングスクール「ライディングアカデミー東京」の佐川健太郎校長。せっかく手元にある大型バイク、安全に走りを楽しみ、満面の笑みで1日を終えたいもの。そのためには、ライダー自身のスキルアップと安全意識の向上、環境へも配慮したスマートなライディングを目指したい。それが“スマートテク”なのだ。
PAGE01PAGEPAGEPAGE

大排気量ほど
豪快かつ難しい

排気量が大きいということは、それだけ一度にたくさんのガソリンを燃やして大きなエネルギーを取り出せるということ。エンジン性能的には大きなトルクを発生できることになります。トルクとは軸馬力のこと。簡単にいうと、後輪を駆動させる力のことです。

 

一方「パワー=仕事率」なので、小さな排気量でも高回転まで回すことでハイパワーが得られます。たとえば、ひとつのピストンが小さく高回転化させ易いマルチエンジンなどは、同じ排気量のシングルエンジンよりもパワー的に有利なのは皆さんご存じのとおりです。

 

大型バイクの魅力はその排気量の大きさを活かした豪快な乗り味にあると言えるでしょう。高速クルーズでの余裕しゃくしゃくな走りや、スロットルを開けたときの怒涛の加速はまさに大排気量マシンの真骨頂です。

 

その一方で、排気量が大きくなるほど一般的に扱いが難しくなっていきます。余りある大トルクはラフなスロットル操作でいとも簡単に後輪をスライドさせてしまいますし、車体が大きく、重くなればそれだけ減速しにくくなります。コーナリングにおいては、重いマシンほど遠心力も強く働くため、旋回速度を高めるのが難しくなっていきます。

 

ただ、大排気量マシンの場合、そのエンジン性能を引き出すための工夫も凝らされています。それは加速時のスライドを制御するトラクション・コントロールや、ブレーキロックを防ぐためのABSなどです。また、大排気量マシンにはコーナリング中の高荷重にも耐えられる、高性能タイプのサスペンションやタイヤが装備されているのが普通です。

 

これらのメリットとデメリットを理解した上で、そのマシンの特性を引き出すことが、大排気量マシンを巧く操るポイントです。次回からはそのあたりを加速、減速、旋回などのシチュエーション別に詳しく見ていくことにしましょう。

 

コーナーの立ち上がりは最もデリケートなスロットル操作が求められるシーン。メガスポーツの大トルクはいとも簡単に後輪をスライドさせてしまいます。トラクション・コントロールが付いていても油断は禁物。

スロットル操作は繊細に

コーナーの立ち上がりは最もデリケートなスロットル操作が求められるシーン。メガスポーツの大トルクはいとも簡単に後輪をスライドさせてしまいます。トラクション・コントロールが付いていても油断は禁物。

一般的に排気量が大きくなるほど車重も重くなる傾向があります。慣性力も強く働くため、それを減速させるためにより強力なブレーキシステムが必要。ただし、制動距離はライダーの操作スキルによって大きく左右します。

ブレーキングで差が出る

一般的に排気量が大きくなるほど車重も重くなる傾向があります。慣性力も強く働くため、それを減速させるためにより強力なブレーキシステムが必要。ただし、制動距離はライダーの操作スキルによって大きく左右します。

Practice

ホンダ XR230は、街乗りから林道ツーリングまで楽しめるデュアルパーパスモデル。跨ってみると、その軽さ・細さ・小ささを実感し、安心感を覚えます。ホイールベース(1,340mm)はK1300Sよりも250mmほど短く、車重122kg、最高出力18psです。右の2台と比較してみてください。

軽さ小ささの安心感

ホンダ XR230は、街乗りから林道ツーリングまで楽しめるデュアルパーパスモデル。跨ってみると、その軽さ・細さ・小ささを実感し、安心感を覚えます。ホイールベース(1,340mm)はK1300Sよりも250mmほど短く、車重122kg、最高出力18psです。右の2台と比較してみてください。

 

トライアンフストリート・トリプルRは、いわゆるミドルクラスのスポーツネイキッド。3気筒ならではのスリムさで排気量の割にコンパクトな車体であることが分かります。ホイールベースはXRとさほど変わらず、車重(167kg)は約1.4倍、パワー(108ps)はちょうど6倍です。

まさにジャストサイズ

トライアンフ ストリート・トリプルRは、いわゆるミドルクラスのスポーツネイキッド。3気筒ならではのスリムさで排気量の割にコンパクトな車体であることが分かります。ホイールベースはXRとさほど変わらず、車重(167kg)は約1.4倍、パワー(108ps)はちょうど6倍です。

 

BMW K1300Sは、大排気量が生み出す余裕のクルーズ性能から、その気になればアグレッシブな走りもできる、いわゆるメガスポーツの代表格。ホイールベースはXRの1.2倍、車重(254kg)は約2倍、パワー(175ps)は約10倍にも達します。見てのとおり、その大きさは圧倒的です。

大排気量ならではの余裕

BMW K1300Sは、大排気量が生み出す余裕のクルーズ性能から、その気になればアグレッシブな走りもできる、いわゆるメガスポーツの代表格。ホイールベースはXRの1.2倍、車重(254kg)は約2倍、パワー(175ps)は約10倍にも達します。見てのとおり、その大きさは圧倒的です。

スマテク+α

発進からわずか2.8秒で100km/hまで達する凄まじい加速力は、まさに地上を走るロケットのよう。その猛ダッシュの中、流れる景色を楽しめる余裕が持てるところがBMWたる所以。デュオレバーのガッチリとした剛性感に裏打ちされた直進安定性の高さはK1300シリーズならではですね。

際立つ直進安定性

発進からわずか2.8秒で100km/hまで達する凄まじい加速力は、まさに地上を走るロケットのよう。その猛ダッシュの中、流れる景色を楽しめる余裕が持てるところがBMWたる所以。デュオレバーのガッチリとした剛性感に裏打ちされた直進安定性の高さはK1300シリーズならではですね。

 

どこからでも加速する、ワイドで力強い中速トルクが3気筒エンジンの特長。小回りの利く軽量・コンパクトな車体と相まって、タイトコーナーでストップ&ゴーを繰り返すスラロームなどは得意中の得意。ハンドリングは排気量だけでなく、エンジンのキャラクターが大きな意味を持つことが分かります。

軽快なトルク走りが魅力

どこからでも加速する、ワイドで力強い中速トルクが3気筒エンジンの特長。小回りの利く軽量・コンパクトな車体と相まって、タイトコーナーでストップ&ゴーを繰り返すスラロームなどは得意中の得意。ハンドリングは排気量だけでなく、エンジンのキャラクターが大きな意味を持つことが分かります。

PAGE01PAGEPAGEPAGE

スマテク講座 講師
佐川 健太郎(Kentaro SAGAWA)
「ライディングアカデミー東京」校長。1963年東京生まれ。モーターサイクルジャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。公道で役立つ実践的な低速系ライディングから、モータースポーツとしてのサーキットライディングまで、テクニックやノウハウに造詣が深く、メーカー系イベントや各種スクール、走行会などでも講師を務める。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。MFJ公認インストラクター。
■スマテクに関するソボクなギモン受付中!■

この記事に関するご質問、ご相談を受付けています。ひとことでライテクと言っても、ライダーによって体格や考え方も異なるし、バイクそのものの特性や走行シチュエーションによってさまざまです。「これが100%正解!」なんて、無いに等しいところですが、広く一般的な基礎知識やノウハウ、こんなときはどうするのがベターなのか?といったギモンに対して、高いライディングスキルを持ち、知識と経験豊かなプロライダーが直々にお応えします。こんな機会はめったにありません!

佐川校長へどんどん質問・相談してみよう!

※コメントはこの記事に関する内容に限らせていただきます。なるべく多くのご質問にお応えするつもりですが、内容によってはコメントできない場合もありますことを予め御了承ください。

これまでの相談一覧

すろっさん さん

12月05日

ステップバーが当たるまで、倒すのは無意味ですか?

校長 さん

12月15日

>すろっさん さん
コメントをいただき、ありがとうございます。
ステップバーが当たるまで倒すことが無意味かどうか……。それは状況によると言えるでしょう。ステップバーの位置は、そのモデルのキャラクターによってだいたい決まっています。たとえばスーパースポーツなら高く後退していますし、クルーザーなら低く前方にあるのが一般的です。そして、ステップの位置はそのモデルが通常走行する状況において、簡単には接地しないように設計されています。ですから、一般公道においてはステップバーが接地するという状況は、そのモデルにとって「そろそろ限界に近いですよ」という意味です。たとえば、ツーリングや街乗りで毎回そこまで倒し込んで走っているのであれば、それはリスクが高い走り方と言わざるをえません。
一方、路面ミューが高くコーナーの旋回速度が公道とはまったく異なるサーキットなどでは、簡単にステップが接地してしまいます。遠心力に対抗するためには、バイクを傾けていく必要があるからです。その場合は意味があってバイクを傾けているわけです。レーシングマシンなどは、バンク角を稼ぐためにアップ(バック)ステップにしていますよね。つまり、状況にあった走り方をしてほしいということ。くれぐれも無理はしないでくださいね。

svおやじ さん

06月28日

sv400に乗るおやじライダーです。コーナーを、楽しく曲がれる様になりたいのですが、良い練習方法があったら教えてください。

校長 さん

07月13日

SVおやじさん
コメントをいただき、ありがとうございます。
まずはリラックスして乗ること。目線を向けること。丁寧な動作・操作をこころがけること。バイクのメンテナンスをきっちりしていることも大事です。コーナーを楽しく曲がれるようになるためには、ブレーキを使わずに曲がれる速度で、リズミカルにワインディングを走る練習をすると効果的です。スロットルのオン・オフだけでバイクの姿勢と速度をコントロールできるようになれば、楽しく走るためのリズムが分かってくるはずです。ぜひトライしてみてください。

tabibitoです さん

08月19日

30年経った今バイクに乗ろうとしているおやじです、現役時代はcb400で山道をひたすらながしていました。
カワサキzzr1200に乗ろうと思っています、昔のように走るための何か良いアドバイス頂けますか。

校長 さん

09月12日

>tabibitoです さん
コメントいただき、ありがとうございます。まずはリターンおめでとうございます!CB400懐かしいですね、ヨンフォアかホークⅢでしょうか・・・。ZZR1200は穏やかな出力特性と素直なハンドリングで乗りやすいマシンですが、排気量で3倍、パワーで5倍は違うので侮れません。マシンの特性に慣れるまでは慎重に乗ってみてください。重量のあるハイパワーモデルを乗りこなすには、それなりのライディングスキルと安全マインドが必要になります。「昔のように走る」とは、どのような乗り方をイメージしているのか分かりませんが、本来ならライディングスクールなどで基本から学び直したほうが、安全で確実ですし、自信を持って走れるようになると思います。常に「謙虚さ」を忘れずにバイクライフを楽しんでください。

みっちゃん さん

12月06日

BMW k1200rsに乗っています。友だちのホンダST1300と走る事があるのですが、比べてK1200は時速80キロまでのコーナーやハンドリングが難しいように思います。それ以上の速度で走る、曲がるはスムーズですが、K1200の特徴として低速では曲がりにくい感じがあるものでしょうか?フロントは沈まない設計のようです。アドバイス待ってます。

校長 さん

01月14日

>みっちゃん さん
コメントをいただき、ありがとうございます。
ST1300は大柄で重量もありますが、「ロール方向の動きが軽い」という縦置きVツインのメリットを生かして軽快に倒し込みができます。縦置きはクランクシャフトが車体に対して縦方向に設置されているため、K1200RSのような横置きの直4ほどジャイロ効果の影響を受けないためです。また、BMWはデュオレバーという複雑な仕組みのフロントサスペンションを持つため、低速域では操舵抵抗が若干あるような気もします。ホイールベースも長いので、小回りが利くほうではありません。フロントは沈まないわけではなく、以前のモデルに比べるとノーズダイブも自然になっています。こうした特性を理解した上で、マシンに慣れて乗り方を工夫すれば、あまり意識化せずに他のバイクと同じように走れるはずです。ただし、くれぐれも公道ではムリはなさらないように。

あーす さん

01月21日

>校長さんへ
みっちゃんの友人のST1300乗りの あーす といいます。

1月14日のみっちゃんさんの回答に突っ込みを少しさせてください。

ST1300は「縦置きV4」で、クランクもフライホイールも、おそらくバイクの縦軸にあると思います。
K1200RSは、「縦置き直4」で、同じくクランクもフライホイールもおおらく縦軸にあると思います。
駆動方式も、どちらもシャフトドライブであり、構造的にはサスペンションの違いくらいかと感じています。

ホイールベースについては、49ミリ長いようですが、車重はSTの方が重たい割には、ワインディングではRSの方が走りにくいようです。
STでは、ジムカーナに近い安全運転講習会などもそれなりに走れてしまうのですが、
やはり、デュオレバーは曲がりにくいサスペンションなのでしょうか。

校長 さん

04月26日

>あーす さん
コメントをいただき、ありがとうございます。縦置き直4の旧Kシリーズのことですね。それはおっしゃるとおり、クランクも含めて縦置きなのでジャイロ効果についてはSTと同じような特性と思われます。旧Kシリーズだとフロントがテレレバー、リヤがパラレバーの組み合わせだと思いますが、
高速安定性や急制動時におけるステアリングまわりの剛性感、ピッチングでの姿勢変化の少なさなどのメリットは大きいと思います。ただ、低速パイロンスラロームのような種目だと、ステアリングに舵角がつく動きに若干タイムラグがあったような気がします。「曲がりにくい」というわけではなく、得意とする速度レンジやシチュエーションの違いだと思います。

ゆた さん

06月05日

今乗っているバイク(DAEGライム限定車)がとても大事で絶対壊したくないのですがライテクを磨きたいのも事実...。もう一台練習用に車体を用意するにあたってまったく違う車種、排気量では今乗っているDAEGを乗りこなす練習としては難しいのでしょうか?もう一台中古でDAEGを探す事も考えましたが購入、維持ともにお金の問題もあるので...。
勝手な質問ではありますが宜しくお願いします。

校長 さん

06月11日

>ゆたさん
コメントをいただき、ありがとうございます。
大きく重くパワフルなビッグバイクを思うように乗りこなすのは誰にとっても難しいものです。そこで、より手軽に操れるバイクをご用意するのは賢明と思いますよ。
ちなみに当アカデミーでも練習用のセカンドバイクとして250ccクラスのスポーツバイクを中古で用意する方が増えています。バイクを操る基本の部分は同じなので、より思いきったライディングにトライしながら腕を磨くには丁度いいと思います。

まさ さん

05月07日

50代のリターンライダーです。いままでスクター(シルバーウイング)に乗っていましたがスタイルでニンジャ1000に乗り換えようと思い試乗したのですが、身長166の私では、足着きに不安があり、ローダウンしよと思いますが、何か注意しなといけないことがあれば教えてください。よろしくお願いいたします。

校長 さん

05月08日

>まささん
コメントをいただき、ありがとうございます。
憧れのバイクに乗れるのは素晴らしいことと思います。ニンジャ1000はベースがスーパースポーツだけに、一般的なネイキッドなどに比べるとシートも高めの設定になっています。足着きを良くするためにリンクを変えてローダウンするのはひとつの方法です。ただし、車体のディメンションが変化するので、本来のスポーティなハンドリングに影響が出る場合もあります。それが不満であれば、シート自体を加工して足着きを改善する方法もあります。ローダウンほどの劇的変化はありませんが…。ハンドリングか、足着きか、何を優先するかだと思います。たとえばローダウンキットを入れたとしても、街乗りやのんびりツーリングする走りであれば特に問題はないと思いますよ。パーツの組み付け等は信頼できるショップでお願いしてみてください。

野々山昭夫 さん

09月15日

69歳になりました、ズーと4輪を運転してましたが息子から譲られたバイクに乗ってから更に大型をとのおもいからこの8月にYAMAHATmax530に乗り換えました、少しはなれましたがこのバイクをのりこなすためのアドバイス、注意点などを頂けたら有り難いと思っています。スピード、車間距離、車幅距離、運転上の過信、などを意識して運転しています!宜しくお願いいたします。

校長 さん

12月18日

>野々山昭夫 さん
コメントをいただき、ありがとうございます。
まずは大型へのステップアップ、おめでとうございます。
Tmaxですが形こそスクーターっぽいですが、走りっぷりはスポーツモデル並みです。コーナリング性能やブレーキ性能も高いので、慣れてくるとけっこう無理をしがちです。やはり、一番大事なのは平常心で、謙虚な運転を心掛けることだと思います。Tmaxに関わらずですが「急」のつく操作をしないこと。穏やかな加速とブレーキ、倒し込みなどを意識してみてください。それと、重量もそこそこあるのでフラつかないように、止まるときは安定して足を着けるか、いつも確認するといいでしょう。ぜひこれからも安全で豊かなバイクライフを楽しんでください!

投稿する