1976年に登場したR100RSは、往年のBMWレーサーと同じ“RS”(Renne Sport:レン・シュポルト)のネーミングを冠した、当時のフラッグシップ・モデル。現在見ても異様なほど大きく、独特な形状のフェアリングは量産市販車としては初めて装備されたもので、世界のバイクシーンに大きな衝撃を与えた。風洞実験によって細部まで徹底的に煮詰められたその性能は、アウトバーンを200km/hで巡航してもライダーを走行風から守り、優れた高速居住性を生み出すことに成功。この画期的なアイテムは後に世界中のバイクメーカーが模倣し、フルフェアリング装備車両は一般的なものになっていったが、現在においても、このフェアリングの性能を超えるものは登場していないと言われている。コックピットにはスピード、タコメーター以外に電圧計や時計などが整然と並び、外観のみにとどまらないその革新性は、バイクメーカーやライダーの間でさまざまな論議を巻き起こした。このモデルは一度は姿を消すものの、数年後に復活。外観は似ているものの、フレームからエンジンまで、各部に変更が加えられた別物となる。