北米で最も大きなシェアを占めているクルーザー・カテゴリに投入された、アメリカン・スタイルのドイツ製クルーザー。プルバックされたハンドルにフォワードステップ、幅広いシートなど、ライディングポジションもそれなりに。搭載されるエンジンはR259系1100ボクサー(1,085cc)のボア×ストロークを 99×70.5mmから 101×73mmへとスケールアップしたもので、当時最大排気量の1170ccボクサーだ。それによって得られる太く豊かなトルクは、ゆったりとクルージングを愉しむための快適性やフィーリング、サウンドやパルスを感じさせるキャラクターを実現。左右に飛び出したシリンダヘッドを強調するかのように、外装や装備はシンプルなもの。クルーザー・カテゴリにおいては他メーカーに類を見ない突出した個性をアピールしている。またABSシステムの装備やテレレバーサスペンションなど、スピードを求めないセグメントであっても安全性や直進安定性、操作性など、それらの走行性能には明らかにBMWらしさが注ぎ込まれている。後にスタイリングや装備の変更による派生モデルが続々と登場するものの、このカテゴリが継承されることはなく、クルーザーはBMW Motorrad史上稀有な存在となっている。