すでに高いスポーツ性能と高速巡航性能を兼ね備え、1995年に登場したR1100RTの進化版。見た目の違いはヘッドライト・ユニットの変更に伴うフロント・フェアリングの新デザインくらいで、後方から眺めるとその違いを判別するのは難しい。ヘッドライトには新たにドライビング・ランプが装備され、暗い山道では照射視野が広がり、昼間は前方を行くクルマへの視認性が向上するなど、安全マージンが増している。ほか、外装に関する変更はほとんど見られず、先代同様実用性の高いツーリング装備が備わる。R1100からR1150へと進化したエンジンは、トップバッターのR1150GS同様排気量が45cc拡大され、さらに吸排気系の違いによって最高出力95ps/7,250rpm、最大トルク100Nm/5,500rpmへと高められ、実用回転域である3,000〜6,500rpmの広い範囲で最大トルクの90%以上を発揮する。ブレーキシステムには第三世代BMW ABSを装備しており、フロント/リアどちらのブレーキ入力に対しても常時前後連動するフルインテグラル・タイプを採用、さらにサーボ・システムを搭載。先代と比べて全体の佇まいにそれほど大きな変更は見られないものの、ホイールベースの短縮によって旋回性が向上し、重量は3kg軽量化され、出力・トルク共にK1200LTに迫る数値ながら重量は約100kgも軽く、高いスポーツ性能にさらなる磨きがかけられ、工業製品として真っ当な進化を遂げている。